奇妙な関係 ~オスとワタシの奮闘記~
家に帰ると、春ちゃんが窓から外を眺めていた。


その隣には春美ちゃんもいて、春ちゃんと同じように外を眺めている。



「ただいま」

「…………」



あれ?


反応が返って来ない。


寝ちゃった?


って、春ちゃんは寝ないしな……。



「ただいまっ!」

「っ!?」



今度は少し大きな声で言ってみた。


すると春ちゃんは大げさなくらい肩をビクッと動かし、振り返った。



「急に大きな声出すなよ」

「声かけたけど、春ちゃんが気付かないからでしょ」

「……悪い」



珍しく素直に謝られ、ちょっとビックリ。


明日は大雪かな?



「今日会社に居たよね? 何してたの?」

「別に……久しぶりに行ってみただけ」

「何それ、声くらいかけてくれてもいいじゃん」

「お前忙しそうだったし……偉そうな奴に声かけられてたし……」



偉そうな奴?



「社長の事?」

「社長? あいつ社長なのか?」



眉間にシワを寄せ、顎に手をやり考え込む春ちゃん。


何で?



「何か引っかかるの?」

「いや、別に……」

「別にって顔じゃな……」

「着替えて早く下降りないと、聖子が怒って乗り込んでくるぞ」



そう言うと春ちゃんは部屋を出て行ってしまった。


私は渋々部屋着に着替え、リビングに向かった。





< 167 / 255 >

この作品をシェア

pagetop