奇妙な関係 ~オスとワタシの奮闘記~
周りの景色を見る余裕もなく、下を向いたまま、兎に角足を進めた。


気温は低い筈なのに、凄く身体がカッカしてる。



「文美……」

「…………」

「文美!!」

「っ!?」



春ちゃんの大きな声に驚いて、慌てて顔を上げた。


私の後ろに視線を向ける春ちゃん。


私は足を止め、釣られるように後ろを向いた。


え……。



「日下部さん……」

「っ、……っ……」



私の目の前で立ち止まった日下部さんは、大きく肩を揺らしながら息をしている。


追いかけてきてくれたの?


全然気が付かなかった……。



「ごめん」



息を整えた日下部さんにいきなり謝られた。



「どうして謝るんですか?」

「空気を悪くしてしまって……」



その事か……。


確かに空気は悪くなったけど、日下部さんの言った事は間違ってないと思う。


私の考えが甘かっただけ。


何処で誰に見られてるかも分からないのに、優君と話をするべきじゃなかった。



「いいえ、ありがとうございました。 日下部さんのおかげで、会社の方々に変な誤解を生まずにすみました」



私の好きな人は春ちゃんだし、今後これ以上優君に勘違いされない様に壁を作らないといけない。





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