奇妙な関係 ~オスとワタシの奮闘記~
そう思うのに、日下部さんには思いっきり甘えてしまっている。


嫌な顔一つせず、包み込んでくれるからかもしれない。


寂しさを紛らわしたいが為に、一緒にいて欲しいとは思うくせに、触れられたくないと思ってる。


私自身も触れたいとは思わない。


本当に触れたい人には触れることはできない。


それが余計に寂しさを誘うのかもしれない。



「行こっか」

「あぁ」



私たちはカラになった缶を捨て、エレベーターへと向かった。


最初の気まずい空気が嘘のように、今は騒がしい。



「将来何しようかなぁ……」

「え!? 社長の跡継ぐんじゃないの!?」

「なんで俺が?」



何で俺がって……息子でしょ!?


うちの会社って世襲制じゃないのかな?


実力主義?



「……何しにきたの?」

「見学」



見学と言う名のただの暇潰しじゃん!!


仕事してる方がマシなんだけどぉー。



「取り敢えず回ろう」

「しっかりガイドしろよな」

「…………」



相変わらずの上から目線。


社長!!


甘やかしすぎだよ!!





< 207 / 255 >

この作品をシェア

pagetop