奇妙な関係 ~オスとワタシの奮闘記~
隣で運転しながら陽気に鼻歌を歌っているお母さん。


そんなお母さんの様子が可笑しいのか、後ろの席で笑っている春ちゃん。


春ちゃんの笑い声につられて私まで笑っちゃいそうだよ。



「ねぇ、何処に向かってるの?」

「着いてからのお、た、の、し、みっ」

「…………」



何なの……その乙女チックな喋り方……。


更に大きくなる春ちゃんの笑い声。


本人より娘の私が恥ずかしい……。


お母さんとこうして2人で車に乗って出かけるのなんていつぶりだろう。


思い出そうとしても思い出せなかった。


私が働き始めてからは、お母さんと一緒に出かけることが少なくなった。



「着いたわよー」



携帯を扱っている内に目的地へ到着した様で、私はシートベルトを外し外へ出た。


お母さんの後ろをついて歩いていると直ぐに建物の入り口にたどり着き、看板に書かれている文字を見て私は固まった。


……飯島ハートフルクリニック?



「本当にここでいいの!?場所間違ってるんじゃない!?」

「ここでいいのよっ。ほら行くわよー」



だってここ……心のクリニック的な所じゃないのッッ!?






< 52 / 255 >

この作品をシェア

pagetop