奇妙な関係 ~オスとワタシの奮闘記~
真央ちゃんと呼ばれた女医さんの白衣には、飯島と書かれたバッチが付けられていた。


飯島って事は、この病院の院長先生?


艶々した黒髪のショートヘアーを耳にかけた飯島先生は、テレビに映っていてもおかしくないほど綺麗な人だった。


年齢不詳だ。



「文美ちゃんもすっかり大きくなっててビックリしたわ。それに可愛い顔は聖ちゃんの若い頃にそっくりだ事」

「もうやぁねー真央ちゃんったらぁ!!私の方が可愛かったわよぉー」



お母さんってば、少しは謙遜しなよ……。



「すみません、私も以前何処かでお会いした事があるんでしょうか?」



失礼だとは思いつつも、誤魔化しもできなさそうだったのでストレートに訪ねてしまった。


だけど飯島先生は嫌な顔せず答えてくれた。



「文美ちゃんと最後に会ったのは文美ちゃんが中学校に上がる前くらいだったかしら。そんな昔の事覚えてなくてもしょうがないわね」

「真央ちゃんは私の中学生の頃からのお友達でね、最近は会ってなかったけどちょくちょく連絡は取ってたのよ」

「そうなんだ」



カウンセリングを受けるなら、知らない人よりも知ってる人の方がいいのかな?


私なら知らない人の方が話しやすいけどな。


相談するのは私じゃないし、お母さんは気心の知れた人の方がいいんだろう。






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