奇妙な関係 ~オスとワタシの奮闘記~
「只今担当者へご連絡致しますので、どうぞお掛けになられてお待ち下さいませ」



私はいつも相手の目を見ている様で見ていない。


男性相手の時に限っての事で女性相手の時は勿論ちゃんと目を見て接客している。


失礼なのは重々承知してる。


でも目を合わせて露骨に顔をひきつらせた笑みになる方が失礼だよね。


来客も落ち着き、ゆっくりとした時間が訪れた。


聞こえてくるのはオープンスペースで談笑している社員とお客さんの声だけ。


オープンスペースという事もあり、みんな当たり障りのない話ばかりで聞き耳を立てる気にもならない。


まずい……。


既に睡魔が……。



「鈴川さん」

「は、はいっ」



5階の会議室受付は2人体制で、隣にいる先輩の三宅(ミヤケ)さんに声を掛けられた。


心臓飛び出すかと思ったよ。



「これ速水さんに届けてもらえない?」

「はい、分かりました」



三宅さんからA4サイズの封筒を受け取り、私は席を立った。


今にも寝ちゃいそうだったから助かったかも。






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