私を変えた一つの言葉

第１章

1．私

私は初めて会った男性に不思議な感覚を覚えた。

私はごく普通の家庭に生まれ、ごく普通な25歳になる女性である。

父、母、私、妹の四人家族の長女として生まれた。

これと言って特別な環境で育った訳でもなく
高校まで
親に卒業させてもらい

一人暮らしをしながら
バイトをして短大に通い
卒業して社会人となった。
私は明るい性格で
どちらかと言えば
一人で出掛けたり
一人旅なんかも好きな方だ
人と接するのが嫌いな訳ではないけど

基本的に思い立ったら即行動タイプ。
急にどこかに行きたくなったりするから
どうしても一人旅が多くなってしまう。

活発でポジティブなイメージを受けるかもしれないけど
どちらかと言えばネガティブな部分も多い私。

幼い頃からよく気がきく性格だとよく言われ

その旅に私は嬉しいような悲しいような
感覚を覚えていた。

私にいわせれば
いつも周りに気を使いながら遊んでいる自分がなんとなく悲しくもあり

なんとなく損をしている様に思えたからである。

どうして自分勝手な性格に生んでくれなかったのかと
母に泣きすがったこともあった。

そんな私の気も知らず
「気を使える人は異性に好かれやすいよね」とか

「人としてすごいね」

みたいに羨ましそうに言われると

その度に人の気持ちが分からない人が
羨ましいなと思えた。

私にはトラウマにさえ思える言葉を平気で言える人に苛立ちを感じていながらも
どうしてか私は逆の立場でも考えてみたりもしながら

素直に褒めてくれる人に対して苛立ちを感じてしまっている私もまた
自分勝手な人間ではないのかと思いながらも答えの出ない感情の中をさ迷っていた。


私は時々そんなことを何時間も考え込んだり

また考える事すらも忘れて遊びに出掛けたりしながら
なんだかんだ言いながらも楽しい日々を過ごしていた。
そんな普通な私。

そんな時に一人の男性と出会った。