『主夫』だって『恋』してますけど何か?


(・・・・相変わらず
仕事面だけは尊敬する。)


大人数の人間が携わる百貨店立て直し。

そのメンバーのリーダーを
任されているのは藤堂だった。

藤堂は堂々と、そして解りやすく
皆にこれからの計画を話す。


(きっと今の会社でも、
認められてるんだろうな。)

優は話しを聞きながら、
自分の教育係だった頃の
藤堂を思い出す。


いつも何をさせても完璧だった。



(前の会社で出世は
約束されていた様なものだったのに
どうして転職したんだろ・・・・)


ふと転職をした藤堂に
疑問がわいた。


(・・・まぁグローバル大きいしね。
引き抜きか何かかな。)

優はそう考えると、
また仕事に集中した。





「社長、お昼はどうされますか?」


仕事に集中していたら、
優の部下達が声をかけてきた。


「・・・あ、もうそんな時間なのね。
ごめん、気づかなかった。
これだけ片付けてから
休憩しましょうか。」


「はい。」


部下達と今後の予定を決めて、
優はまたパソコンに向かう。



「高松さん。昼飯まだだろ。
一緒にどう?」

しばらくして、藤堂が
優に声をかけてきた。


「・・・・申し訳ありません
まだ少し休憩前に終わらせたい
仕事があるので。」

はっきり嫌だと言いたい優だが
周りの目があるので丁重にお断りする。


「少し仕事の打ち合わせも
したいんだけど。」

爽やかに微笑む藤堂。


「では今ここで。」

愛想笑いで返す。


「昼から、一旦本社に戻る事に
なってるから、時間ないんだ。
だから外で打ち合わせさせて
貰えない?」



(・・・・・絶対嘘でしょ。)

「・・・・・・解りました。」

結局優は部下の手前
取引先のリーダーである藤堂の頼みを
無下には出来ずに嫌々承知した。



「あなた達も休憩して。
一応予定よりは仕事進んるから
ゆっくりしてきていいから。」


席を立つと優は部下達に言って
藤堂と二人で百貨店を出た。



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