『主夫』だって『恋』してますけど何か?
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「マスター、酷いですよ。
優さん使うなんて。」
夜、バーに来て仕事中。
「悪い、悪い!
本当お前しかいなくてさ。」
マスターはちょび髭を
触りながら謝る。
まぁ、仕事は楽しいんだけどね。
カランカラン・・・・
「いらっしゃいませ。」
もっとマスターに文句を
言っておこうと思っていたら
来店の鐘が鳴ったんで入口に目を向けた。
入って来たのは数名の男性グループ。
男性グループの中には
一人だけ目立つ人がいた。
「・・・・・・・・・・・・藤堂さん。」
ライバルとのまさかの再会。
藤堂さんもこちらを見て
少し驚いている。
「・・・・5名様ですか?」
とりあえず案内に向かう。
「はい、そ〜です!
藤堂さん、オシャレな店ですね!」
藤堂さんの部下らしき
若い男が答える。
「こちらの御席へどうぞ。」
店の中央の四人掛けテーブルに
二人掛けテーブルを近付け、
5人が座れる様にしてから案内した。
落ち着けよ・・・・俺。
冷静にしてるけど、
すっげー動揺してる。
でもライバルに弱気な態度は
見せたくない、男のプライド。
たまたま助っ人で働いていたら
優さんの元彼が来るなんて・・・
俺は気付かれないように
小さく深呼吸して
動揺する自分を落ち着かせた。