『主夫』だって『恋』してますけど何か?


「パパどおしたの?」


リビングでラグの上に座る
俺の顔を娘マリン4歳が覗き込む。


「・・・・何でもないよ。」

ハッとして、直ぐに微笑む。



土曜日のお昼すぎ。


優さんは今日も仕事に行った。


俺は今日の夜で最後の仕事。


それまでは、マリン達と
過ごしていた。



「和樹君、休んでて頂戴!
遅くまで仕事で疲れてるのよ〜。」

優さんの母親でフランスから
一時帰国中の瑠美さんが
心配そうに言った。


「大丈夫ですよ!
瑠美さんこそ、明日帰るんですから
やりたい事あったんじゃないですか?」


瑠美さんはせっかく帰国してたのに
毎日マリンとカイトを預けて
いたのでほとんど
どこにも行っていない。


「毎日、楽しいわよ〜♪
この歳になると、本当孫が
可愛くてしょうがなくなっちゃうのね〜」


優さんと同じくりくりとした目が
笑顔で細くなる。




そういや俺に、優さんが
思いきり笑った顔を
見たことねぇや・・・・


いつも真顔か怒ってるよな。


それ意外は・・・・

人に見せる作り笑い。

マリンとカイトに見せる優しい顔。

解りにくいけど驚いた顔。

笑ったって思っても、ほんの少し。

もしかしたら、それも
俺の思い違いだったのかも。





今更気付くなよ。


普通4年もかかるかなぁ。


俺、全然相手にされてないじゃん。




高松和樹26歳。


現在自暴自棄に陥っています。



< 197 / 532 >

この作品をシェア

pagetop