『主夫』だって『恋』してますけど何か?
「パパどおしたの?」
リビングでラグの上に座る
俺の顔を娘マリン4歳が覗き込む。
「・・・・何でもないよ。」
ハッとして、直ぐに微笑む。
土曜日のお昼すぎ。
優さんは今日も仕事に行った。
俺は今日の夜で最後の仕事。
それまでは、マリン達と
過ごしていた。
「和樹君、休んでて頂戴!
遅くまで仕事で疲れてるのよ〜。」
優さんの母親でフランスから
一時帰国中の瑠美さんが
心配そうに言った。
「大丈夫ですよ!
瑠美さんこそ、明日帰るんですから
やりたい事あったんじゃないですか?」
瑠美さんはせっかく帰国してたのに
毎日マリンとカイトを預けて
いたのでほとんど
どこにも行っていない。
「毎日、楽しいわよ〜♪
この歳になると、本当孫が
可愛くてしょうがなくなっちゃうのね〜」
優さんと同じくりくりとした目が
笑顔で細くなる。
そういや俺に、優さんが
思いきり笑った顔を
見たことねぇや・・・・
いつも真顔か怒ってるよな。
それ意外は・・・・
人に見せる作り笑い。
マリンとカイトに見せる優しい顔。
解りにくいけど驚いた顔。
笑ったって思っても、ほんの少し。
もしかしたら、それも
俺の思い違いだったのかも。
今更気付くなよ。
普通4年もかかるかなぁ。
俺、全然相手にされてないじゃん。
高松和樹26歳。
現在自暴自棄に陥っています。