『主夫』だって『恋』してますけど何か?
『毎朝ママだといいな』
マリンの一言。
きっと深い意味なんてない。
子供の何気なく言った言葉。
でも、今の俺には辛い。
俺がいなくなっても・・・・・
優さんもマリンもカイトも
困らないのかもな。
藤堂さんが優さんと結婚したら
優さんは働かなくてもいいはずだし
マリンは実の父親と暮らせる訳で。
カイトだって一歳の今なら
俺の事なんて忘れられる。
俺って・・・・実は邪魔?
キキッ・・・
後ろから優さん達を眺めながら
悲しくなっていたら幼稚園バスが来た。
「おはようございます!」
明るくバスから降りてきた遥先生。
「「おはようございます!」」
マリンとミノル君が元気に挨拶を返す。
「・・・・おはようございます。」
優さんが遥先生に挨拶をした。
「・・・・おはようございます。」
遥先生はさっきの明るさが
少し弱まりながらも笑顔で挨拶を返し
ちらっと俺を見た。
俺は頭を下げる。
なんだろう・・・・
この微妙な空気。
マリンとミノル君が乗り込むと
直ぐに発車したバス。
ほんの数十秒の事だったのに
すごく長く感じた。