『主夫』だって『恋』してますけど何か?


「・・・ちょっと!
もう止めようって言ったじゃない!」

優のワイシャツのボタンを
外しながら首元に顔を埋める
藤堂に抵抗する。


「・・・あんまり騒ぐなら
動けない様にするけど?」

藤堂は自分のネクタイを
緩めながら優を見る。


「違う!
私はこんな関係もう止めたいの!
周りにも疑われだしてる・・・・
肇だってばれたら困るでしょ?」

優は必死に訴えた。



「・・・俺はお前を離したくない。」


「・・・・は?何いって・・・」

「俺は、お前が好きだから。
お前との関係無くしたくないんだよ!」


「・・・・・・・・・・・・・」



(・・・・・何を言ってるのよ肇。
別れようって言ったのは
あんたでしょう?)


困惑する優の両手首を
藤堂はネクタイで縛る。



「ねえっ・・・・お願いだからやめて・・・
肇・・・・お願い・・・・・」

優が必死に言っても
藤堂は聞かない。


「やめてっていいながら
体は喜んでるけど?」

優を間近で見つめる藤堂。



(・・・・・肇が・・・恐い。)

優は思った。



付き合う前にオフィスで
抱かれていた時には
見せなかった冷たい表情。


今更ながら、あの時には
愛されていたのだと実感した。


(・・・じゃあ今は?
さっき好きだって言ったじゃない。)


優には藤堂の意図が
まったく解らなくなった。



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