『主夫』だって『恋』してますけど何か?
<優Side>
「はぁ・・・・・」
優は仕事中大きなため息をついた。
(・・・・ダメだ。仕事集中できない。)
ガタッ・・・
席を立ち休憩室に向かう。
「・・・・優、どうかした?」
「・・・・・・何でもない。
ちょっと疲れてるだけ。」
見兼ねた茜が途中、
声をかけるが優は軽く笑って言った。
「・・・・何でもないってねぇ。
今日あんた何回あのトップ席で
ため息ついてると思ってんの?
朝から数えて、さっきので46回!
社長がため息連発してたら
社員は倒産でもすんのかと思って
ヒヤヒヤもんよ!!」
茜の発言に、同じフロアにいた
社員が皆頷く。
(私そんなにため息ついてた・・・・・?)
優は反省して気を引き締め
直しながら休憩室に入った。
(・・・・・・和樹、昨日泣いてたのよね・・・)
優の頭の中は和樹。
今まで何があっても仕事に来れば
だいたい忘れられた。
昨日、優が怒鳴って書斎から
出ていった和樹はその
ドアの前にしばらくいた。
たまに小さく声を漏らして。
声を我慢して泣いている様な声がした。
(・・・・なんで和樹が泣くのよ。
・・・泣きたいのは私よ。
やっと・・・・・
和樹を信じようって思えたのに。)
瞼を綴じ上を向く優。
けれども朝の和樹は至って普通。
いつもなら、優が怒った次の日は
機嫌を伺いながら挨拶してくるのに
今朝はいつもより笑顔だった。
(・・・・開き直ったかな。)
今朝の最後にみた和樹の笑顔を
頭に浮かべながらそう思った。