『主夫』だって『恋』してますけど何か?
ブォォォ・・・・・
優は出来る限り車を飛ばす。
(・・・・・まさか・・・・)
優は焦る気持ちを
ギリギリの所で抑えている。
抑えきれなければ直ぐに
事故を起こすであろう。
キキッ・・・・
家につき、車庫に車を置かず
玄関前に横付けして急いでドアに向かう。
ガチャガチャ・・・・
鍵を空ける手は
動揺して定まらない。
やっと開いた時・・・・
「ママ〜!おかえり!」
明るいマリンの声が
家の中でなく後ろからした。
「和樹・・・・!」
振り向きながら和樹の
名前を呼ぶ優。
けれどそこにはマリンと・・・・・
一緒にいると期待した
和樹ではなくて、お隣りの
中川さんがいた。
「・・・・マリン、パパは?」
優は笑顔のマリンに聞く。
「しらないよ〜!
ミノルくんちにいなさいって!
ママきょうかえってくるの早いね〜♪」
マリンはうれしそうに優に抱き着く。
「・・・・・朝、お願いされて。」
中川さんは気まずそうに言った。
「・・・・すみません。
ありがとうございました。」
優は出来る限り笑顔で
お礼を言って頭を下げ
マリンと家に入る。
・・・・家の中は静かだ。
夕暮れ時で、白い壁に
オレンジ色の光りが差し込む。
「ただいま〜!」
マリンが返事のない家に
挨拶をしてリビングへ行く。
優はリビングに入るのを一瞬ためらった。
・・・・蘇るのは幼い時の記憶。