『主夫』だって『恋』してますけど何か?
リビングに足を踏み入れる優。
先に入ったマリンはテレビをつけ
チャンネルを変えて
好きなアニメを探している。
優はダイニングテーブルの上に
置かれたビデオカメラと
白い紙に目を奪われ躊躇う。
ゆっくりと近づく。
白い紙を手に取ると、
目を綴じて不安な
気持ちを抑えながら
二つに折られた紙を開く。
「・・・・・・・・・・・・・・」
綴じていた目を開き、
紙に書いてある文字を読んだ優。
”今までありがとうございました。
優さんが大好きです。”
「ママ!パパいつかえってくるの?」
テレビに向かっていたはずの
マリンが優の元へ駆け寄り聞いた。
「・・・・・・ごめんねマリン。
マリンにも小さかった頃の
ママと同じ思いさせちゃう・・・・・」
優は紙を見つめたまま床に座り込む。
「ママ?どうしたの?だいじょうぶ?」
マリンが優を心配そうに覗き込む。
(・・・・・・私もあの時、
同じ言葉をお母さんに言ったな・・・・)
優は4歳のマリンと、
5歳の時の自分を重ね合わせた。