『主夫』だって『恋』してますけど何か?


「マスター・・・
大人の女性っていいっすよね〜」

閉店してから片付けをしていたら
和樹がニコニコグラスを
拭きながら言った。


「・・・・お前、優ちゃんは
高望みし過ぎだぞ。」


「なっなに言ってるんですか!?
そんなんじゃないっす////」



・・・だからバレバレなんだって。


和樹は真っ赤な顔で
明らかに動揺している。



「美人なんてな〜どうせ自分と
釣り合う男がいいんだよ!
痛い目みるだけだかんな〜!」


「だから違いますって!」

和樹は赤い顔のまま
裏に消えていった。





俺は美人が嫌いだ。


昔・・・・愛してた美人の嫁に
男つくって貯金ごと逃げられたから
美人は信用しない。



「・・・・まぁ優ちゃんは
何か違うけどな。」


彼女はいつも孤独な目をしている。


美人だから良く男客が言い
寄ってるけど完全無視。



でもバーに来るのは・・・・


ここに何かを求めているんだと思う。


長年バーテンダーをやってきた
ただの勘だけどな。





-------それから数ヶ月してから。


美人な優ちゃんが
12時を回るころに
かなり酔っ払って店に来た。



「おいおい優ちゃん
どうしたんだよ・・・・・」


「・・・・・お酒・・・・下さい。」

虚ろな目でカウンターに座る優ちゃん。



とりあえずいつも優ちゃんが
頼むカクテルを出した。



ヒソッ・・・
「和樹、次の注文から
アルコール少なめな。」


驚いた顔で優ちゃんを
見ていた和樹に伝える。



多分、相当呑んでるな。


あまり酔っても顔等にでない
優ちゃんの頬は赤く、喋り方も
ハッキリしていない。



彼女がこんな姿を人に
見せてしまう程・・・・・

何かつらい事でもあったのだろうか?





それから閉店まで優ちゃんは
帰ろうとしなかった。



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