『主夫』だって『恋』してますけど何か?


「はぁぁぁ〜・・・
なんで俺、藤堂さんにマリンが
実の娘だって言っちゃったんだろ〜
しかも婚姻届出してない事まで。」

和樹が大きなため息をつく。


「美男子なんか言って来たのか?」


「・・・・まだ何も。
優さんが、俺が戻って来た事は
伝えたみたいですけど・・・・」


「そう簡単に引くような
男じゃないんだろ。」


「そうなんすよ!
だって婚姻届出してないって
知らない時に旦那の俺に向かって
ライバル宣言する様な男ですよ!!」

興奮しながら言う和樹。



「・・・・ライバルにわざわざ
自分の弱み教えた様なもんだな。」


「・・・・・(涙)そうなんです。
しかもまだまだ優さんとアイツは
一緒に仕事してるんです。」

和樹は遠い目をした。



・・・・コイツとことん不幸な奴だな。



単細胞でお人よしで純粋で
馬鹿じゃなかったら
普通はやってけない。



でもな・・・・・
今考えたら優ちゃんは多分
お前がいるからずっと店に
来てたんだと思うんだ。



これも、長年バーテンダー
してきたただの勘だけどな。



だって和樹が店辞めてからも
たまに優ちゃんは客連れて
来てくれてたけど、来る度に
ずっと孤独なだった瞳が
だんだん優しい瞳になってるんだぜ。



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