『主夫』だって『恋』してますけど何か?


ピピッ!

和樹の脇に挟んだ
体温計の音がなる。


「・・・・・39度6分」

優は和樹の熱の高さに驚く。


(・・・・・救急車呼ぼうかしら。)

真剣に悩む優。



とりあえずケータイをもち
電話をかけた。



『はいは〜い!おはよう優!
珍しいじゃない、
こんなに朝早くから!』

優は悩んだ末に茜に電話した。


「おはよう。
和樹が39度も熱があるんだけど
どうしたらいいと思う?」


『・・・・・どうしたらって、早く
病院連れていきなさいよ。
8時には受付始まるんじゃない?』


「・・・・解った。
ちょっと仕事遅れる。」


『・・・・休みなさい。
私がカバーするから。
マリンとカイトもいるんでしょ?』


「・・・・うん。」


茜に言われるまで忘れていた優。



和樹が寝込むとマリンとカイトの
面倒をみる人がいない。



「ごめん。
家でやれる仕事は終わらせるから。」


『はいは〜い!』


茜との電話を終え、着替えて
車のチャイルドシートに
マリンとカイトを座らせて、
2階からフラフラの和樹を
支えて連れていく。



「・・・・優さんすみません・・・・」

力無く謝る和樹。


「・・・・いいわよ別に。」

こんな時くらい優しい言葉を
掛けてあげたいのに言えない優。


なんとか和樹を車まで連れていき
背もたれを倒した助手席に座らせた。




「・・・・飛ばすから。」

優はいつもより強く
アクセルを踏んだ。



いつもなら青い顔でスピードを
落としてとお願いしてくる和樹。


そんな気力もないのか
助手席で目を閉じている。



「きゃう〜♪あ〜♪」

カイトだけが上機嫌。


「ママ〜パパだいじょぶかな?」

マリンはいつもと違う和樹を
ずっと心配していた。



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