『主夫』だって『恋』してますけど何か?
小夜子とは・・・・・。
中学3年の時に、
初めて出来た俺の彼女。
中2の頃から片想いしてた俺が
やっとの想いで告白して
付き合い始めた。
手を握るのにもドキドキしすぎて
時間がかかり、初チューにも
8ヶ月かかった。
気付けば高校一年生。
高校は違ったけど、小夜子と
逢うために大好きだった
サッカーを辞めて、帰宅部にして
週末の時間を空けた。
そろそろ初体験も・・・・
なんて考えて呑気に
フワフワしてた俺。
小夜子に用があるから逢えない
と言われた日曜日に、自転車で
ウロウロしてたら目撃してしまった。
たまたま小夜子の家が見える道を
通った時に、小夜子の姿が見えて
自転車のブレーキをかける。
名前を呼ぼうとしたら、隣から
姿を現した見馴れた顔。
(・・・・義樹?
何で義樹が小夜子の
家から出てくるんだ?)
まだその当時、年上キラーの
頭角を現していなかった義樹に
疑いもせず、疑問を抱えたまま
2人に自転車で近付く。
「・・・・和樹!」
俺に気付いた小夜子が驚いた
表情をして名前を呼んだ。
「・・・・何で小夜子の家から
義樹が出てくんの?
用事って義樹?」
俺は胸騒ぎしてきた気持ちを
抑えて小夜子を見つめる。
「・・・・・和兄ごめんね。」
義樹が哀れんだ顔でポケットに
手を突っ込んだまま謝る。
「・・・何で謝んの?」
義樹に疑問をぶつけるけど俺の
視線は小夜子の首筋。
(・・・・・・紅い跡ついてる。)
衝撃で判断力が鈍った頭が
ゆっくり状況を判断する。
「・・・・・義樹と寝たの?」
小夜子に言った。
「・・・・・ごめん。
和樹の事好きだったけど、
大事にされすぎてつまらなかった。」
純粋に好きだったから
大切にしてきた彼女の口から
出た衝撃の一言。
その日の夜、失恋と弟に彼女を
奪われたショックで俺は一晩中泣いた。
痛い痛い
昔の想い出。