『主夫』だって『恋』してますけど何か?
「・・・・・解らないよ。」
「・・・・・和樹。」
和樹は優が聞きたくない返事をした。
「・・・・友達だよ?
なんで信用しちゃダメなの?」
和樹の言葉に優は
抱きしめた腕を離した。
「・・・・解らないならいい。」
(・・・・・和樹は優しいからね。)
優は悲しくなった。
「・・・・優さん。」
和樹の横を抜けて、階段を
上がる優を見つめる和樹。
「・・・・明日も仕事だから。
おやすみ。」
優はちゃんと和樹の顔を見て
出来る限り口元を上げて言った。
今の優に出来た、
和樹への精一杯の心遣い。
本当は・・・・・
ちゃんと社会の厳しさを
和樹に教えないといけなかった。
和樹はまともに会社で
働いた事がなかったから。
バーの仕事はたまたま
マスターがいい人だったから
良かったのだ。
だけど和樹の純粋な気持ちを
否定したくもなかったし
これ以上小夜子を庇われたら
自分の醜い感情を
ぶつけてしまいそうだった。
「・・・・・おやすみなさい。」
そんな優を和樹は不安げに
見つめながら立ち尽くしていた。