『主夫』だって『恋』してますけど何か?
賑わう平日の百貨店。
「カイト・・・
社会って何なんだろうな。」
息子カイトに話しかける。
まともに社会に出た事がない
俺は専業主夫。
高松和樹、26歳。
主夫歴もうすぐ5年。
「パパぁばかぁ〜!」
ベビーカーから憎らしい
言葉をはくカイト。
「お前な・・・・
ばかって意味解ってて使ってんの?」
ちょっとムッとした
近頃情緒不安定な俺。
女の子の日みたいなもんだろうか。
主夫生活でとうとう女化!?
それ、やだな・・・・
俺は男だ!
ベビーカーを押しながら
ずんずん歩く。
百貨店は2日前に来た同じ場所。
今日の目的は買い物でも
ランチでもない。
出来れば関わりたくなかった
相手に会いに来たのだ。
・・・・いないなぁ。
無計画に連絡もせずに
百貨店に来たから、
目的の人物に会えない。
そうだよな・・・・
優さんは藤堂内さんが
働いている会社の百貨店って
言ってたから、よく考えたら
前に貰った名刺の会社にいるのか?
安易な考えでここまで
きた事に後悔した。
途方に暮れていると、
後ろから俺を追い越した
女性客の会話が聞こえてきた。
「ねぇさっきのスーツの人
無茶苦茶かっこよくなかた?」
「え?どこにいた?」
「イベント会場の隅っこの
ブースだよぉ!
パソコンに向かってた人!」
「見てなかった〜!」
・・・・・・絶対藤堂さんだ。
俺はイベント会場に戻る。