『主夫』だって『恋』してますけど何か?


そう、俺は藤堂さんに会いに来た。



藤堂さんに聞きたい事があったから。



さっきも探したイベント会場に
戻り、女性客が言っていた場所に行く。




いた・・・・


隅っこで座って
パソコンに向かう美男子。



仕事中だよな・・・・


話し掛けたら迷惑かな。


様子を伺っていたら、
前バーに来た部下らしき人が
藤堂さんに話し掛けて
何かを話し出した。


藤堂さんは何か指示をしている様だ。



社会人かぁ・・・・



昨日優さんは俺は社会の恐さを
知らないって言ってた。



俺には解らない世界。


バーで働いてた時、よく会社の
愚痴を言っている
お客さんは沢山いたけど・・・・



色々考えながら、藤堂さんを
眺めていたら、視線が合った。


一瞬驚いた顔をした藤堂さん
だったが、部下らしき人に
何か言った後に、俺の方へやって来る。



俺は頭を下げた。



「和樹君、どうしたの?」

ごもっともな第一声。


「あの藤堂さん、少し
時間貰えませんか?」


「・・・・・ああいいけど。
30分くらい待っててくれる?
急ぎの仕事片付けるから。」

藤堂さんは腕時計を
見ながら言った。



なんか・・・・
仕草までカッコイイよな。

腕時計も高そうなヤツ・・・


「はい!
突然押しかけてすみません。」

今更ながら謝った。


「うん。構わないよ。
俺も話したい事あったし。」

そう言って藤堂さんは仕事に戻った。



優さんも・・・・
好きになる訳だよな。

あんなカッコイイ人。


内容は離れていて解らないけど、
藤堂さんはパソコンに
集中しているのに、
ちょこちょこ何かを確認にくる
部下らしき人達に嫌な顔
一つせずに何か言っている。



俺は・・・・家事して子守して。


優さんの帰りを待つだけで。


優さんはそれは凄い事だって
言ってくれたけど、やっぱり
藤堂さんみたいに、頑張って
仕事してる方が凄いよ。



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