『主夫』だって『恋』してますけど何か?
「優、飯は?」
「まだだけど・・・・。」
立ち尽くす優に藤堂は
ごく自然に話し掛ける。
「そっかよかった。
なぁ久しぶりにそこ行かない?」
藤堂は公園前の小さな
イタリアレストランを指差す。
「・・・・いっ行かない。」
あまりに自然な藤堂の態度に
つい行くと言いそうになったのを
慌て変更した。
「でも俺、優とゆっくり話したい。」
「私は話すことなんてない。」
直ぐに否定した優を見て
藤堂は一瞬何か考えた後
強引に優の手を握った。
「離してよ!」
優は握られた手を
逆の手で離そうとする。
「なぁ優、俺に力で勝てると思う?」
藤堂が優に笑いながら聞く。
「だったら大声出すまでよ!」
優は睨みつけながら言い返した。
「それなら俺は
口を塞ぐまでだけど?
こうやって・・・・」
藤堂は優に顔を近付けた。
「・・・・ちょっと!!
解った!解ったから!」
優は慌てて顔を逸らす。
「クスクスッ・・・何が解ったんだよ。」
慌てる優の反応を見て、
藤堂は楽しそうに笑った。
(・・・・そうだった、この人
昔から私をからかって楽しむ。)
優は複雑な気持ちで
藤堂から目を逸らす。
「じゃぁ行きますか、お姫様。」
藤堂は握ったままの優の手の甲に
キスをして歩き出す。
(相変わらずの女馴れね・・・)
優はため息をつきながら
手を握られたまま
藤堂に着いて行った。