恋の薫り…
思わせぶりに

竜太side

ー月曜日 午後ー

学校の教室。
教壇に一番近い自分の席で
俺、菊間 竜太(きくま りゅうた)は
いつものように寝ていた。

バイトの疲労で学校に来ると
いつも寝ている気がする。


「眠ぃな。」


本格的に眠くなりだした頃、
中瀬の声が聞こえてきた。

「菊間くん……っいいし…
りょ…してよ…」

遠くて声が上手く聞き取れなかったが
俺の名前がでてきた気が…する。

中瀬が一生懸命話している相手は
抹本か…。

抹本が少し嫌そうな顔をしているところを見ると
なんかお願いされてるっぽいな。


中瀬…か。

中瀬はかわいい。
正直に言うとタイプだ。

ぱっちりした目に抜群のスタイル。
入学した頃から気になっていた。


でもな…中瀬、俺が近くにいたり
目があったりすると
あからさまに顔を伏せる。

なんでかは、わからないけど
嫌われてるんだと思ってたんだ。

そんな中瀬の口から俺の名前。

聞き間違いだろ、と思いながらも
ほんの少し嬉しかった。
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