恋の薫り…

急いで視線は外したけど
思わずあげてしまった声が
亜矢那に聞こえたらしい。

「どしたの?香月…?」

「いや、なんでも…。」


なんでもない、と答える前に
亜矢那が私の見ていた場所に目をやって、

驚いた声をあげた。

「みーくん!?
久しぶりっ!」

みーくん???

亜矢那が声をかけたのは
さっき、私と目があった人だった。

あの、やたら視線を感じる人。

「亜矢那の知り合いかなぁ…?」

横から風奈が少し不安そうな声で
聞いてきた。

「多分…そうなんでしょ。」

ここは亜矢那の地元だ。
知り合いも多いから…多分、男友達…なのかな?


「亜矢那!?
久しぶりだなっ!!」

「元気だった?
てゆか、なんでここにいんの?」

「俺、そこのコンビニでバイトしてるし。
今日、遅番だったんだ。」


亜矢那とみーくん??と呼ばれた人は
楽しそうにお喋り。

…あの人、見かけによらず人なつっこいな。

もっと怖い人かと思ったけど。

茶髪、ピアス、目つき悪い。
それだけで‘‘不良っぽい‘‘って決めつけてたけど

笑いながら亜矢那と話す顔は
なつっこい犬に似ている。


ーで、結局あの人誰なんだろ?
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