学校監禁ツアー
「翠さんっ!!翠さん!?」

俺は叫びながら翠さんを追いかける。

「いやぁあ゛ぁぁぁあぁあっ」

翠さんの悲鳴だ!

「翠さんっ!!」

翠さんは、職員室前にいた。バラバラになった肉塊といっしょに。 正しくはバラバラになった人体模型。

「なにがあったんだ!翠さんっ」

「き、急に人体模型が追いかけて来て…私に触れた途端、弾けて…」

「弾けた…?」

なぜ…?

「…あ。お守り。」
翠さんはスカートのポケットから深緑色のお守りを出した。お守りは無惨にも破けてボロボロになっていた。

「護ってくれたのかも…」

そういった瞬間に、翠さんはハッとしたかおになった。

「…まさか、本当に幽霊が…?だとしたら、封鎖されている学校からでるなんてこと…できなっ」

「翠さんっ!!とりあえず、職員室に鍵、取りに行ってくる」

「あっ!待って、私も…」

翠さんが職員室に入ろうとしたときだった。

「っきゃぁ!」

確かに、翠さんがはじかれた。

コトッ カラカラカラ…

なにか細かいモノが転がる。…翠さんの天然石のブレスレットだ。

「翠さん、やっぱり、危険だ。ここ。俺ひとりで行きますよ」

「だめ!危険なら、なおさらだめ!それに…ひとりになって、またなにか来たら…私…」

「…わかりました」

翠さんをまもるものがなくなった今、翠さんは普通に職員室内に入れた。

「鍵…鍵…」

用途の書いていない、いや文字がかすれて読めない鍵が多い。

「いっそ全部もっていきましょう」

「そう…だね」

手当たり次第鍵をポケットに入れ始めた。


ほとんどの鍵を手に入れたとき

「鍵を持って行ったのは、誰…」

声が、聞こえた。




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