学校監禁ツアー
手紙から石が出てきた。キレイな薄ピンク色の石だった。
「?ビーズ?」
「バカね。ローズクォーツよ。天然石」
「ふーん…」
こころなしか、翠さんの口調が強くなった気がした。
「次は、保健室か」
翠さんは頷いた。その手の中にはさっきの少年が。
「…って、えぇ!?翠さん!?」
「別にいいじゃない。次、保健室なんでしょう?」
「そう…だけど…」
「はやく行きましょう」
翠さんはまたもやすたこらと歩く。
「翠さん、怖くないんですか?」
「今幽霊はこの子が止めてくれているわ。だから、私たちは怖がらず先に進まないと」
「そう…でしたね。俺が持ちますよ。翠さん、力ないですし」
「なっ、私だっ、てきゃっ…!」
翠さんはバランスを崩す。俺はとっさに翠さんを支え、少年を奪った。
「保健室、いきましょうか!こいつだって、はやくベッドで寝たいですよ!」
俺は駆け出した。
『保健室』
保健室にはいってすぐに俺たちは固まった。
中に、人がいたのだ。
俺は瞬きをするのも忘れた。翠さんが飛び出す。
「先生!」
「あらあら、どうしたの?」
「わたっ、わたし…もういゃ…」
翠さんは泣きじゃくる。俺の前ではいつも強気なのに。俺はそんなに頼りなかったのかと思う。
「あなた、ケガは…?」
「わた…ない、れす…」
先生の顔が豹変した。
「仮病?」
俺はあわてて先生に話しかける。
「こ、こいつがケガ、してて…」
翠さんが何言ってるのよ。とでも言いたげにこちらを見る。