学校監禁ツアー
〈眞埜硲凜〉

「おかしいな…どこ…?」

階段を駆け上るが、奈津紀たちは見当たらない。さっきから呼んでるのに。

バァンッ

「ひッ」

すぐ横の教室で、何か音がした。

どうしてひとりできちゃったんだろう…?

「誰か、いるのー?奈津紀?みゆき?…如月くん?」

教室のドアをゆっくりとあける。

一の七

なかには、誰もいない。

ただ、ロッカーが開いて…

黒板に何か、書いてある。

『ようこそ一の七へ』

手が込んでるなぁ…

と、一つの机が目に入った。

いすは引いてあり、机の上には…『進路の手引き』に『数学』、ペットボトル…

まるで、さっきまで、だれかがいたかのように…

バンッ

バンッ

バンッ

思わず教室の外をみた、トイレの方から音がする…

まるで、トイレのドアを、開け閉めしていてるかのような…
カタンッ

シャッ、シャッ、シャッ…

後ろで音がする。

私は、ゆっくりと後ろを見た。

高校生くらいの男の子が数学の勉強をしている。

私はホッとして、後ろに脱力しかけた。

そのときに、机に体が当たって、カタリと音を立ててしまった。
ピタリ

音が止まる。

男の子が、ゆっくりと顔をあげる。

いやな予感がする。
男の子は、血塗れの顔で、私を見ると、にたぁーと笑った。
「ひゃっ、ぁ、や、いやっ!!」

私は教室のドアを開けようと走る。

「な、んで…」

ドアは開かない。

後ろからは、ぺた、ぺたと音がだんだん近づいてくる。

「開いて、開いてよ!ぅっ…っく…きっ、如月くぅんっ!!」

ガラリ

ドアが開いた。

私は飛び出て、ぶつかった。

「う゛くっ…ぁ、如月くん…?」
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