夏男と夏子
この暑いのに、海の家ではカレーと並んでラーメンが人気なのだ。
まあ、わかる気もする。
暑いときに熱いもん食って、更に汗を流す。
夏の醍醐味、みたいな。
腹ごしらえを終え、俺は大きく伸びをした。
普通の族なら、ここで軽く昼寝と決め込むところだろうが、俺は違う。
なんっつったって、夏おとこだからなっ!
「さ、行くか」
と向かう先は、海。
海に来て、海に入らないって手はないだろ?
バシャバシャと水しぶきを上げながら、沖へを進んだ俺は、そのまま身体を水に預けて浮いた。
照りつける太陽、頬を撫でる風、海辺の喧騒……
「夏だぁ~」
俺は、全身で夏を感じていた。