夏男と夏子
砂地に付いた足を運んで、辿り着いたその先には、白熱するビーチバレーのコートがあった。
そこでは、真っ黒に日焼けした水着姿の四人のギャルが、砂まみれになってボールを追っていた。
どうやら、熱烈なる応援を受けているのは現在圧勝中の地元チーム「湘南ボンバー」の方らしい。
――ま、これだけ汗まみれ砂まみれになりゃ、日焼け止めも効果ないわなぁ……、お気の毒さまだ。
年季の入った黒い肌は、不思議とその露出度に反して色気を感じさせなかった。
かなりやばい動きではあるが、スピードが速くて目が追いつかないというのがほんとのところ。
――って、あいつ何処かで……
どうやらナツと呼ばれているらしい、湘南ボンバーの片割れに、俺は見覚えがあった。
――って、あいつ……、あの時、秋男の声に反応したあの女じゃねぇか?