夏男と夏子
夏子
「優勝は湘南ボンバー、結城里美・浜野夏子ペア!」
形ばかりの小さなトロフィーを手に、笑顔で手を振る二人の女を暫く見つめていた。
仕事に戻ってからも、あいつの笑顔が頭から離れなかった。
だが、俺の理性がそれをどうにか打ち消そうと戦っていた。
――夏男に夏子、ありえねぇだろぉ~
おまけに海野と浜野とくりゃ、お笑いコンビもいいとこだろぉ~
この時、俺は、生まれて始めて、お気楽な親を呪った。
――忘れろ、忘れろ、オレ! 他に女は五万といる。
だが、そう否定すればするほど、俺の中で、太陽のように笑う浜野夏子が大きく膨らんでいった。