夏男と夏子


「こんにちはぁ~ おじさん、特製ラーメン二つ」


「はいよ、夏子ちゃん、また優勝だってなぁ~」


――えっ?!


驚いてカウンターから振り向いた俺の目に、二つの黒い影が飛び込んできた。


何に驚いたって?


ひとつ、特製っつうのは、この海の家メニューでは特盛りのこと。

なんと大盛りの上をいく、玉二つ分だ。

ふたつ、おっさんが呼んだ名が、こともあろうにあの夏子だったこと。
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