夏男と夏子
薄明かりに照らされて、その姿が浮かび上がった。
その姿はあくまでも黒く、影の域をでない。
が、見覚えのある白目がちな大きな目が俺を真っ直ぐに見つめていた。
「夏子、か……」
「何よ、呼び捨て?」
「他になんて呼ぶんだよ」
「ま、そうだけど。あたしの方が年上だもの」
「なに、そんだけの理由?」
「あたしにもビール」
そう夏子は言った。
結局俺は店に戻って、夏子と俺の為にビールをとってきた。
手に持ってたビールは店に戻りながら一気に煽っちまったからよぉ……
何で夏子がそこにいて、俺にビールをねだったのか、俺にはさっぱりわからなかったから。