夏男と夏子



あの夜から、夏子は俺がバイトをしている間、一度も海に顔を出さなかった。



なんでも、夏中、全国各地の浜で開かれるビーチバレー大会を巡っていたのだそうだ。

試合のある日は、夕方必ず、海の家「湘南ボンバー」に勝敗の連絡が入る。

なっつっても、おじさん達はスポンサーだからな。

そんなこんなで俺も、夏子達の戦績に一喜一憂し、バイトを楽しく過ごさせて貰ったわけだが。

真近で夏子のプレーを観れないのはちょっと残念だった。



そして俺の夏は、夏子に再び会えぬまま、静かに幕を閉じるはずだった。
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