夏男と夏子


「海の家のバイト、代わってくんねぇか?」

「あぁ……、って、例の鎌倉の?」

「そうそう、それ。オレ、彼女と旅行はいっちまってよぉ」

「何だそれ」

ヨット部のバイト割り当てで、運よく海の家のバイト権を手に入れた秋男だったのだ。

「しかたねぇじゃん。

実家に連れてくって、チケットまでとっちまってよぉ~

もぉ、逃げらんねぇ」

「ご愁傷さま」

「だから助けると思ってさぁ」

無断ですっぽかしたりしたら、来年から部にバイトの声が掛からなくなる。

先輩達から袋叩きの刑なのだ。
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