夏男と夏子
「しかたねぇなぁ、で、いつから?」
バイトにあぶれた俺にしてみれば、タナボタ的な美味しい話なのだ。
恩着せがましくなく、こうやって俺にバイトを譲ってくれる秋男は基本イイ奴なのだ。
「それがよぉ、明日から18日の土曜まで二週間。悪いな」
「えっ、お前、そんな長いこと彼女の実家にいるわけ?」
「あいつの実家、農場じゃん。ついでに夏中働かされんの。婿見習いだと」
「永久就職かぁ~
ま、康子ちゃんと一緒ならそれもいいんじゃね」
「ま、オレも観念したっつぅか……、ま、頑張ってくるわ」
半ば照れて、顔を綻ばしている秋男を見てると、こっちまで恥ずかしくなってくる。