夏男と夏子

俺の浮かれた気分を叩きのめすように、矢継ぎ早に繰り出される仕事のオーダー。


かき氷掻きに、パラソル立て、皿洗い……


新参者の俺に、力仕事が多いのはあながち気のせいでもあるまい。

まあ、小柄なおじさん、おばさがやるより効率いいのは確かだろうし。

毎年のように通ってるこの海の家、勝手知ったるなんとやら……、でだいたいの仕事は、言われればこなせるのも、気兼ねなく頼まれる要因だろうけど。


「兄ちゃん、悪いね。腹減っただろ。昼休憩一時間とっていいぞ」


と声をかけてもらったのが、二時過ぎ。

まかないのラーメンどんぶりを抱えて、海の家の裏手の日蔭へ非難した。
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