気持ちの先にあるもの
男は片手で俺を掴んだままタバコを吸い始めた。

動けない・・・

なんちゅう力や・・・

あかん許されへん・・


「離さんかいっ!!」

ジタバタしてもビクともしない・・・


「少しは落ち着けや!今日はあのガキに用は無いねん、お前に用あって来てん」

「俺に・・何や・・?」

周りの生徒たちが騒ぎ出した、
こんな所で暴れていたら無理もないが。

誰かが呼んだのだろう、
先生が叫びながら走ってきた。

「こらぁ!何してるんやお前らぁ!?」

あかん・・・
あんま騒ぎが大きくなったら春樹に見られる。。

「お前が騒ぐから先コー来てもうたやないか!場所変えるからついてこい!お前もここでややこしくなったらマズイやろが?」


たしかに・・・

男の手を振りほどきながら頷く。

ここはこいつの言い分を聞くしかないみたいだ・・


先生が近寄ってきた、
今思い浮かぶ精一杯の嘘をついた。

「すいません!家の事で兄とけんかになってました。ちょっと用事ができたんで今日は帰ります!なっ兄ちゃん?」
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