気持ちの先にあるもの
ついに初電話に成功した。第1声目から聞こえないようなボソボソ声になってしまったが・・・

覚えていてくれてるだろうか・・。

だれ?とか言われたらどーしよ・・。

心臓が口から出てきそうだ・・。

「春樹君?やっとかけてきてくれたん!結構待っててんでぇ!!」

えっ!?
覚えててくれたし、雪江も待っててくれたんかい!
もっと早くかけてたら良かった。。

後悔しながら僕の口元は緩みっぱなしだった。

「ご、ごめん!!女の子に電話するんとか初やって、タ、タイミングが分からんかってん!」

「えぇ!初めてなん?春樹君モテそうやのになぁ!まぁかけてきてくれたから許したげる!」

受話器越しに雪江の笑い声が聞こえる。
もうそれだけで幸せな気持ちになる。

顔が見えないというものは今の僕にとっては良いモノだ、顔を見て緊張しなくて済むから。

「モテへんよぉ!!許してくれてありがとう!」

普通に話せる!!

普通に笑える!!

こんなに機械越しの会話がすばらしいなんて・・・
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