気持ちの先にあるもの
放課後になると生徒たちは一斉に帰っていく。
正門あたりはまさに地獄絵図だ・・・
ギュウギュウずめになってまるで満員電車のように見える。

「あほや!」
教室の窓から見ながら僕はつぶやいた。

達也はというと、
誰もが耳を塞ぎたくなるようないびきをかいて
5限目から眠っている。

僕はいつものように
気持ち良く眠っている達也の少しだけ生えているあごひげを2本抜いてやった。

プチッ!

「・・・いったぁぁ!」

少し反応が遅かったが
痛がりながら机から立ち上がった。
達也のどいた後の机には
よだれの水溜まりが汚らしく残っていた・・・


「痛いのぉ!なにすんねん?」

達也はすき間だらけになっているあごひげをさすりながらどなった。

「誰かさんが放課後マクド行こって言うてたから
起こしたったんやろ?」

達也のあごひげに笑いが込み上げるのを我慢しながら最後まで言い切った。
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