気持ちの先にあるもの
少しの間、雪江は立ったまま泣いていた。

余程心細かったんだろう、シャツを掴んでいる手を離そうとしない。


なんでだろう・・・
普段の僕なら怒鳴り散らしているだろう、
まぁこんなに必死で探しもしないだろうが・・・

こんなに小さい手で一生懸命、僕のリンゴアメまで握りしめて僕を探してくれていたのか・・・


怒ったりできる訳が無い、むしろ愛おしくてしょうがない。。

「大丈夫やった?見つかってほんまによかった!!」

言いながら雪江の頭を軽くポンポンとしてやる、
冷静な時なら絶対できない事だが、今なら普通にできる。

「・・振り返ったら人たくさんいて春樹君見えへんよーなって・・・いなくなったんや思って・・」

「そっか!!んで、探してくれたんや!」

「うん・・」

僕はそれ以上なにも聞かず雪江の持っているリンゴアメを1つもらい口に放り込んだ。

「うまいなぁリンゴアメ!!ありがと!」

雪江もエヘッと笑うとリンゴアメを舐めた。


「じゃいこっか!?」


僕らは立ち上がり神社に向かって歩き出した。


しっかりと手を繋ぎながら
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