気持ちの先にあるもの
最後に会話があってから
1時間ぐらい経ったかな。

まだ手術中のランプが点灯している。

さっきの騒ぎが嘘みたいにみんな黙り込んでいる、

理恵は今も泣いてるし。

達也君はイラツキを隠せないのかずっと爪を噛んでいる。

お母さんはさっきから下を向いて何かを考えてるようだ。


私は・・・

まだ少ない思い出だけど
1つ1つを思い出していた。


初めは挙動不振な人だと思ってたけど、

さりげなくヌイグルミをとってくれて、

きっとめっちゃがんばって電話かけてきてくれて、

花火大会のときも私を心から心配してくれて捜しまわってくれて、


あの時・・・ほんとにうれしかったんだよ、はぐれない様に手を繋いでくれたこと、


毎日毎日、電話で笑いあえたこと、


好きって伝えてくれたこと


まだ出会って1ヶ月ぐらいなのに・・・

こんなにいっぱいの思い出ができたね!


もっともっとたくさんの思い出を・・・



春樹君と作っていきたい




大好きだから・・・



ポタッ・・ポタッ

掌にまた雨が降ってきたみたい・・・




そして手術中のランプが消えた。
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