桜の季節
彼と初めて出会った瞬間、


私は恋に落ちた。


 はじめまして。今日からアルバイトとしてお世話になります。桜井ミカです。よろしくお願いします。
私は早口になりながらも頭を下げた。
 …よろしくね。
そのまま彼は私の横を通って去ってしまった。
嫌われた?
いや、初対面だし…
私は少しショックだった。
バイト先はボウリング場で、職場にいる人は皆私と同世代だった為すぐに打ち解けた。
 あ~今日も疲れたぁ…
立ち仕事に慣れない私はまるで誰かに言っているかのように独り言を口走った。
 お疲れっす。
彼だった。彼は正社員で私は週2回のバイト社員の為一緒に働く事なんてなく、名前はもちろん初日以来話したことも無かった。
 上がり?
彼が言った。
 はい、そうです
なぜか緊張して顔が見られなかった。
 そっか。仕事慣れた?
 はっはい。まだまだわからないこともありますが…
私は必死だった。
彼は休憩だったらしく、コンビニで買ったお弁当を食べながら話しかけてくれた。
 
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