あおぞらカルテ
昼間の光景を思い出す。

何かあった?


「井口さんがどうかしました?」

「息が止まっていると…」

「…息が止まって…ぇえ!?」


驚きすぎて、真夜中なのに大声をあげてしまった。


「もうちょっと緊迫感を持って報告してくださいよ!?ゆっくり歩いてる場合じゃ…」

「いいえ、先生。先生の仕事は蘇生じゃなくて、確認です」

「確認って、確認?」

「お亡くなりになったか確認を」


冷静すぎる看護師の声が、薄暗い廊下でやけに冷たく響いた。

手渡されたまっさらな死亡診断書。


「印鑑を忘れずに持って行ってくださいね。それに、誤字脱字に気をつけて。控えは病院で保管しますから、原本をご家族に…」


淡々と説明する看護師に恐怖さえおぼえる。

人の死って、こういうもの?

こんなのが日常茶飯事?
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