あおぞらカルテ
風邪を治すために、久しぶりに定時で帰宅した。

親父と二人で住んでるのに、それぞれが忙しすぎて会うこともない。

家はただ寝に帰る場所。

こっそり親父の書斎に入ると、ごちゃごちゃに積み上げられた書類と、本棚に入りきらない専門書の数々。

その中から適当に数冊選んで、柊斗くんの疾患と治療法を調べることにした。

パラパラとページをめくっていくと、欲しい情報の大抵がふせんの場所で、まるでオレが調べるだろうことが分かっていたみたいだった。

しかも、英語文献ならご丁寧に和訳してある部分もある。

…もしかして、これって、親父と思考が同じってことか。


「そらー?帰ってるのかー?」


玄関で音がして、親父が帰って来た。

え…だって、まだ夜の7時。

いつもなら、こんなに早く帰らないはずなのに…。

1階に降りると、寿司の折詰を持った親父がいて、


「業者からもらったんだ。お前も食う?」

「食う。…ってか、早くない?」

「ん、家で調べたいことがあったから」


シンクロ率が高すぎて、思わず笑ってしまう。

こういう時、親子だなって。


「なに?なんかおかしいか?」

「なんでもない」

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