あおぞらカルテ
「あの…よかったらコーヒーでもどうですか?」
桜の花びらが舞い散る校庭。
真新しい制服を着た女子高生。
オレはそんなパラダイスにいながら、独特の緊張感を持って、チープな丸椅子に座っていた。
ここは高校の保健室。
奈菜ちゃんたっての希望での外出。
身体自体は元気だから、普通に登校もできる。
ただし、いつ不整脈が起こって心臓が止まるかわからない。
そんなわけで、担当医のオレは付き添いで保健室待機してるわけだ。
保健の先生には気を遣わせているみたいで申し訳ない。
「奈菜ちゃんって、どんな子ですか?」
「西部さん?わたしもよく知らないんだけど、ここから良く見えるんですよ。陸上部の練習してるのが。短距離のエースってとこかしらね?」
「短距離のエース…かぁ」
「でも、これから部活もできなくなるんですよね?」
その言葉は、なぜだか責められている気分になった。
「あ、体育は制限付きで許可できますけど…」
そんな言い訳をしてみたけど、奈菜ちゃんが悩むのも無理はないなと思った。
ため息をつきながら、御守りのAEDと救急バッグを抱え直した。
何事もありませんように…!
本当はオレだって怖い。
何かあった時、間に合うのか?
一人で蘇生できるのか?
いくら医師免許を持っていたって、初心者マーク付きの研修医。
でも…一番怖いのは本人だろう。
それが一生続くんだから、気が狂いそうになる。
だからといって、いつ電気ショックを出すかわからない爆弾を身体に埋め込むなんて、正気じゃいられないはずだ。
桜の花びらが舞い散る校庭。
真新しい制服を着た女子高生。
オレはそんなパラダイスにいながら、独特の緊張感を持って、チープな丸椅子に座っていた。
ここは高校の保健室。
奈菜ちゃんたっての希望での外出。
身体自体は元気だから、普通に登校もできる。
ただし、いつ不整脈が起こって心臓が止まるかわからない。
そんなわけで、担当医のオレは付き添いで保健室待機してるわけだ。
保健の先生には気を遣わせているみたいで申し訳ない。
「奈菜ちゃんって、どんな子ですか?」
「西部さん?わたしもよく知らないんだけど、ここから良く見えるんですよ。陸上部の練習してるのが。短距離のエースってとこかしらね?」
「短距離のエース…かぁ」
「でも、これから部活もできなくなるんですよね?」
その言葉は、なぜだか責められている気分になった。
「あ、体育は制限付きで許可できますけど…」
そんな言い訳をしてみたけど、奈菜ちゃんが悩むのも無理はないなと思った。
ため息をつきながら、御守りのAEDと救急バッグを抱え直した。
何事もありませんように…!
本当はオレだって怖い。
何かあった時、間に合うのか?
一人で蘇生できるのか?
いくら医師免許を持っていたって、初心者マーク付きの研修医。
でも…一番怖いのは本人だろう。
それが一生続くんだから、気が狂いそうになる。
だからといって、いつ電気ショックを出すかわからない爆弾を身体に埋め込むなんて、正気じゃいられないはずだ。