あおぞらカルテ
case14 65歳女性 胃がん
里香が言う。


「あーあ、もうちょっと胃が小さければ、私ももうちょっとスレンダーになれるのにぃ~」


豚しゃぶ食べ放題の後、“別腹”で柚シャーベットを食べた時のセリフ。


「…それって胃の大きさの問題?てか、全然太ってないし」

「もうヤダ~。ほら見て!この二の腕!」

「そのぷにぷに加減がいいじゃん。さわり心地が…」

「全然褒め言葉じゃないじゃん!やっぱり太ってると思ってんでしょ!?」

「いや、そういうわけじゃ…」


ああ…乙女心は理解不能だ。

じゃあ食わなきゃいいじゃん、なんて思うけど、口に出せば喧嘩になる。

だったら黙ってたほうが平和。

里香サマの言うとおり。


「もぉ聞いてくれる!?外科の福井先生って性格悪いよね!EsoKのオペは俺に任せろ的な?なんかそんな雰囲気出してきて、ハッキリ言ってウザイ。大して上手いわけでもないのにさぁ~」


つい最近オレの上司になった先生を名指しで批判してくる里香。

うーん…立場的に、否定も肯定もできねぇなー…。

食道がん(通称EsoKえそけー)のオペは、確かに福井先生がダントツに症例数とってるし…、かといって上手いかどうかの判断は…?


「そらくんもそのうち分かるよ!あーもー外科のドクターってホントに…」
< 134 / 153 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop