あおぞらカルテ
「道重さーん、診察室へどうぞ」


薄いブルーのナース服を着た看護師が、廊下に出てきてオレの名前を呼んだ。


「私も行こうか?」

「いい」


不機嫌なオレを気遣ってか、里香は控えめにうなずいた。

だってさ、こんなに大袈裟な…


「こんにちは。道重さん、今日は…“なんとなく貧血っぽい”ということですけど?」


イメージとは違って、随分若い30代半ばくらいの医者が目の前に座っていた。


「はぁ…看護師をしてる彼女が病院行けってうるさくて。すみません、お手間取らせまして」

「いやいや、いい彼女さんですね」


ヤブ医者はニッコリと微笑む。

う…なんだ、意外といい医者だったりするかもしれない…。


「ちょっと失礼しますよ」
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