あおぞらカルテ
大屋先生は一睡もせずに、水戸さんや病棟の患者さんの対応をしていた。

PHSは鳴りやまない。

病棟看護師や、救急部からの相談。

夜間の患者さんからの電話対応。

オレはただの金魚のフンみたいについて回るだけだったけど、それだけでも疲れはピークに達していた。

水戸さんの家族探しは中断。

朝の光が当直明けの目に眩しい。


「もうこんな時間ですか…さて、朝のカンファレンスに行きましょう」

「…え、かんふぁれんす…」

「それから、いつもの病棟業務が待っていますよ」


マジ!?

まだ働くってか!?

一応、勤務形態としては、当直明けは帰宅するのが決まり。

でも実際は、そのまま普通に夜まで仕事をして、ようやく帰宅するらしい。

…過労死すんじゃねーか?


「それに、水戸さんのご家族を探さないことには…」


あー、マジ倒れそう。

夜勤を終えて帰って行く里香の背中を恨めしく思ってしまった。

“がんばってねー”って言われたけど、オレ、頑張れないかも。

手当たりしだい“水戸さん”の家に電話する。

もちろん、警察にも連絡したし、職場の人にも探してもらいながら。

目は半分うつろで、気が緩めば寝てしまいそうだ。


「城東医科大学病院の道重と申しますが…」


何度このセリフを言ったことだろう…。

< 18 / 153 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop