あおぞらカルテ
case01 16歳女性 ブルガダ症候群
循環器内科病棟は、中年から高齢者の患者さんがほとんど。
最近では30代の心筋梗塞患者も増えているっていうけど、その割合としてはやっぱり少数なのかもしれない。
日本の超高齢化社会はすぐそこだ。
大屋先生は無言のまま廊下を歩く。
患者さんたちが時々“先生おはようございます”って言いながらすれ違う。
そんな時には少しだけ口角を上げて会釈するのだ。
物静かにも程がある…。
「先生は…」
いきなり話し始めた大屋先生。
それも声が小さいから、慌てて横まで追いかけて耳を澄ます。
「ブルガダ症候群の治療法を言えますか?」
いきなりのテストかよ!?
でも、国家試験受けたばかりの脳ミソがフル回転で回答する。
「ICD植え込みが基本だと思います」
「そうですね」
ホッと胸をなで下ろした。
ICD、つまり、不整脈が起きた時に電気ショックを落として治療する機械を、身体に埋め込むわけだ。
手術としては簡単。
ほんの数時間もあればできるって習った。
「今回の症例は、女性の患者さんです」
「…ブルガダで女性って珍しくないですか?」
「道重先生、意外とよく勉強してるんですね…。その通り、約9割が男性に発症すると言われています」
“意外と”ってどういう意味だよ…!?
まぁ聞き流しておくか。
「彼女の場合、父親がブルガダ症候群で突然死していることから、遺伝が考えられますね」
大屋先生は相変わらずの無表情で、ある部屋の前で立ち止まった。
最近では30代の心筋梗塞患者も増えているっていうけど、その割合としてはやっぱり少数なのかもしれない。
日本の超高齢化社会はすぐそこだ。
大屋先生は無言のまま廊下を歩く。
患者さんたちが時々“先生おはようございます”って言いながらすれ違う。
そんな時には少しだけ口角を上げて会釈するのだ。
物静かにも程がある…。
「先生は…」
いきなり話し始めた大屋先生。
それも声が小さいから、慌てて横まで追いかけて耳を澄ます。
「ブルガダ症候群の治療法を言えますか?」
いきなりのテストかよ!?
でも、国家試験受けたばかりの脳ミソがフル回転で回答する。
「ICD植え込みが基本だと思います」
「そうですね」
ホッと胸をなで下ろした。
ICD、つまり、不整脈が起きた時に電気ショックを落として治療する機械を、身体に埋め込むわけだ。
手術としては簡単。
ほんの数時間もあればできるって習った。
「今回の症例は、女性の患者さんです」
「…ブルガダで女性って珍しくないですか?」
「道重先生、意外とよく勉強してるんですね…。その通り、約9割が男性に発症すると言われています」
“意外と”ってどういう意味だよ…!?
まぁ聞き流しておくか。
「彼女の場合、父親がブルガダ症候群で突然死していることから、遺伝が考えられますね」
大屋先生は相変わらずの無表情で、ある部屋の前で立ち止まった。